独立したものの、仕事につながる人脈がない。そんな状態から最初の顧客をつくるには、営業の数より「人と会う回数」と「紹介」の流れを意識するのが近道です。
この記事では、人脈ゼロで独立した株式会社エグゼマッチ・猪谷進介さんの実例をもとに、最初の顧客をつくるまでの手順をまとめました。
この記事でわかること
- 独立直後に多くの人がつまずくところ
- 人脈ゼロで独立した株式会社エグゼマッチ・猪谷さんの実例
- 最初の顧客をつくる5つのステップと、自社で確かめるチェックリスト
結論:最初の顧客は「紹介」から生まれやすい
独立直後は、知名度も実績もありません。広告や飛び込み営業だけで信頼を得るのは、時間もお金もかかります。
一方で、何度か会って人柄を知った相手からの紹介は、最初から一定の信頼がついた状態で始まります。
最初の1社を「売り込み」ではなく「紹介」でつくる、と考えると動き方が変わるはず。そのために必要なのは、次の3つです。
- 経営者と会う場に、繰り返し顔を出す
- 自分が何をしている人かを、一言で伝えられるようにする
- 最初の仕事を丁寧に仕上げ、次の相談と紹介につなげる
独立直後に多くの人がつまずくところ
人脈がないまま独立した人の多くが、同じところで迷っています。よくあるつまずきは次のとおり。
- 営業をしても、実績がないため話を聞いてもらえない
- 交流会に一度行っても、名刺交換だけで終わってしまう
- 何でも引き受けようとして、何の専門家なのか伝わらない
- 手元の資金が減り、焦って条件の合わない仕事を受けてしまう
どれも、努力が足りないから起きるわけではありません。「信頼が育つ前に成果を求めてしまう」という順番の問題です。
実例:人脈ゼロで独立した株式会社エグゼマッチ・猪谷さん
株式会社エグゼマッチの猪谷進介さんは、信用金庫とWebマーケティング会社を経て独立しました。
もともと独立を望んでいたわけではなく、準備を重ねたうえでの起業でもなかったといいます。Rootsのインタビューでは、独立直後の状況をこう振り返っています。
仕事につながる人脈も、経営について相談できる相手もいない状態でした。
猪谷進介さん(株式会社エグゼマッチ)
営業をしても成果につながらない時期が続きました。資金面でも苦しい状況だったそうです。
営業しても成果につながらず、知名度も実績も相談先もない。赤字が続き、毎月約30万円のキャッシュが出ていく状況でした。
猪谷進介さん(株式会社エグゼマッチ)
動きながら直す「BDCA」
それでも猪谷さんは、動くことを止めませんでした。計画を固めてから動くのではなく、まず動いて、違えば直すというやり方です。
こうしたらどうだろう、違ったら変えようと、行動しては直すことを繰り返しました。PDCAというより、まず動くところから始める”BDCA”のような感覚でした。
猪谷進介さん(株式会社エグゼマッチ)
流れを変えたのは、経営者とのつながり
状況を変えたのは、経営者との出会いでした。交流会などで人と会う機会を少しずつ増やすうちに、相談できる相手が増えていったといいます。
つながりが増える中で、「周りにWebマーケティングを検討している社長がいるよ」と紹介していただけるようになりました。
猪谷進介さん(株式会社エグゼマッチ)
紹介から仕事が生まれ、事業は少しずつ軌道に乗りました。最初はSEO対策が中心だった仕事も、顧客からの相談をきっかけに広がっています。
お客様から「広告も出したい」「サイトをリニューアルしたい」と相談を受けるようになり、サイト制作、SNS運用代行、広告運用へと支援領域を広げました。
猪谷進介さん(株式会社エグゼマッチ)
「接触回数」が関係をつくる
猪谷さんは、のちに経営者コミュニティを立ち上げました。その会員集めでは、都内の交流会に週3回ほど参加していたそう。
「また会いましたね」というところから、少しずつ仲良くなっていくんです。深い話をしていなくても、接触回数が増えることで関係ができていきました。
猪谷進介さん(株式会社エグゼマッチ)
一度会うだけでは、相手の記憶に残りません。同じ場に繰り返し顔を出すことで、「知っている人」から「相談できる人」に変わっていきます。
ただし、つながるだけで紹介が増えるわけではない、とも猪谷さんは語っています。
ただつながったから紹介が増えるわけではありません。何かあったときに「この人に相談しよう」と思えるところまで、関係を深める必要があります
猪谷進介さん(株式会社エグゼマッチ)
最初の顧客をつくる5つのステップ
猪谷さんの実例から、ほかの人が真似しやすい手順を5つに整理しました。いきなり全部やる必要はなく、上から順に試してみてください。
ステップ1:自分の仕事を「一言」で言えるようにする
紹介してもらうには、相手があなたの仕事を人に説明できる必要があります。「何でもできます」では、紹介する側が困ってしまいます。
「中小企業の検索対策をしています」のように、誰の何を手伝う人かを一言にまとめましょう。猪谷さんも、最初はSEO対策に絞って仕事を始めています。
ポイント:紹介されやすいのは「何をする人か」がすぐ伝わる人。
ステップ2:経営者が集まる場に、繰り返し顔を出す
交流会や勉強会は、一度きりでは関係が生まれにくい場です。同じ会に続けて参加し、「また会いましたね」と言える相手をつくりましょう。
地域の商工会・商工会議所や、同業・異業種の経営者の集まりも選択肢になります。自分に合う場を2〜3か所に絞ると、通い続けやすくなります。
ポイント:大切なのは参加した会の数より、同じ人に会う回数。
ステップ3:売り込む前に、相手の話を聞く
会ったその場で営業をすると、相手は身構えてしまいます。まずは相手の事業や困りごとを聞き、自分にできることがあれば短く伝える程度で十分です。
相手の役に立つ情報や、別の人の紹介を先に渡すのも一つの方法。信頼は、こうした小さなやり取りの積み重ねで育っていきます。
ポイント:「この人に相談しよう」と思ってもらえる関係を先につくる。
ステップ4:最初の1件を、丁寧に仕上げる
紹介で受けた最初の仕事は、次の紹介につながる大事な実績になります。約束した期限と内容を守り、終わったら結果を報告しましょう。
満足してもらえれば、別の相談や新たな紹介が生まれます。猪谷さんの事業も、顧客からの相談をきっかけに支援の範囲が広がりました。
ポイント:最初の顧客は、次の顧客を連れてきてくれる存在。
ステップ5:一人で抱えず、相談先を持つ
資金が減っていく時期は、判断に焦りが出やすくなります。一人で考え込まず、先に独立した経営者や公的な相談窓口を頼りましょう。
ポイント:相談できる相手がいると、判断のぶれが小さくなる。
無料で使える公的な経営相談窓口があります
「よろず支援拠点」は、国が設置した無料の経営相談所です。中小企業基盤整備機構が全国47都道府県に置いていて、何度でも無料で相談できます。
5つのステップを、取りかかる目安とあわせて表に整理しました。
| ステップ | やること | 目安 |
|---|---|---|
| 1 | 自分の仕事を一言にまとめる | 今週中 |
| 2 | 通う経営者の集まりを2〜3か所に決める | 今月中 |
| 3 | 会った人の話を聞き、役立つ情報を渡す | 毎回 |
| 4 | 最初の仕事を期限どおり仕上げ、結果を報告する | 受注ごと |
| 5 | 相談できる経営者・窓口を1つ持つ | 今月中 |
自社で確かめるチェックリスト
- 自分の仕事を、誰の何を手伝うのか一言で説明できるか
- この3か月で、同じ経営者に2回以上会った場があるか
- 会った人に、売り込みより先に相手の話を聞けているか
- 最初の仕事の結果を、顧客にきちんと報告しているか
- 資金や判断に迷ったとき、相談できる相手がいるか
答えに詰まる項目があれば、そこから手を付けてみてください。一つずつ整えるだけでも、紹介の流れは変わっていきます。
まとめ
人脈がない独立直後は、営業の数より「同じ人に会う回数」が効いてきます。最初の顧客は、何度か会って信頼が育った相手からの紹介で生まれやすいもの。
まずは今週中に、自分の仕事を「誰の何を手伝うか」の一言にまとめてみてください。
その一言を持って同じ集まりに通えば、紹介の入口は少しずつ広がります。焦らず、一歩ずつ進めていきましょう。
Rootsの新着をメールで受け取る
経営者インタビューの新着と、中小企業の経営に役立つトピックを月2回ほどお届けします。




