広報担当がいない会社の情報発信は、「場所を1つに絞り、決まった曜日に出す」ことから始めるのが近道です。最初の3か月は、成果より続く仕組みづくりを優先しましょう。
この記事では、広報の専任を置かずに情報発信を始めるための、3か月の進め方をまとめました。人脈ゼロから紹介で仕事を広げた、株式会社エグゼマッチの実例もあわせて紹介します。
この記事でわかること
- 広報担当がいない会社の発信が止まってしまう4つの理由
- 最初の3か月でやること(1か月ずつの進め方)
- 発信先の選び方と、続けるための3つの工夫
広報担当がいない会社の発信が止まってしまう理由
「発信が大事なのは分かっているのに、気づくと半年更新していない」。多くの会社が、同じところで止まっています。
担当者の力不足ではありません。止まりやすい理由は、仕事の形にあります。
- 本業が優先になる:受注や納品の山が来ると、発信は真っ先に後回しになる
- 何を書けばいいか分からない:「特別なニュースがないと出せない」と思い込んでしまう
- 場所を広げすぎる:ホームページ、SNS、ブログを一度に始めて、どれも中途半端になる
- 反応がなくて心が折れる:数回出して反応が薄く、「意味がない」とやめてしまう
どれも、やる気ではなく「仕組み」で解決できる問題です。発信を担当者の頑張りに頼らず、社内の予定の一つにしてしまうのがコツ。
最初の3か月でやること
3か月を1か月ずつに分けて、やることを決めておきます。全部を一度に始める必要はありません。
| 時期 | やること | できあがるもの |
|---|---|---|
| 1か月目 | 誰に何を伝えるかを決め、発信先を1つに絞る | 発信の方針(A4で1枚) |
| 2か月目 | 週1回、決まった曜日に出す。ネタ帳をつくる | 4〜5本の投稿・記事 |
| 3か月目 | 反応を振り返り、社内で書き手を増やす | 続けるための分担表 |
1か月目:誰に何を伝えるかを決める
最初に決めるのは、発信の「相手」です。見込み客か、採用したい人か、取引先か。
相手によって、出す場所も言葉も変わります。BtoBで取引先に向けるならホームページのお知らせやブログ、採用ならSNSなど、相手がいる場所を選びましょう。
方針はA4で1枚に書き出しておくと、社内で迷いません。
- 誰に向けて出すか(1〜2種類まで)
- どこに出すか(まずは1か所)
- どのくらいの頻度で出すか(週1回が目安)
- 誰が書き、誰が確認するか
2か月目:決まった曜日に出し続ける
2か月目は、とにかく「出す」ことに集中します。週1回、曜日を決めてカレンダーに入れてください。
ネタに困ったときのために、ネタ帳をつくっておくと続けやすくなります。特別なニュースでなくても、読む人にとって役立つ話は日々の仕事の中にあります。
| ネタの種類 | 例 |
|---|---|
| よく聞かれる質問 | 「〇〇はどのくらいでできますか?」への答え |
| 仕事の裏側 | 納品までの流れ、道具やこだわり |
| 人の紹介 | 社員の仕事への思い、入社のきっかけ |
| 会社の考え方 | 創業のきっかけ、大切にしている判断基準 |
| お知らせ | 新サービス、営業日、イベント参加 |
ポイント:1本に時間をかけすぎない。最初は400〜800字ほどの短い文章や、写真1枚と数行の説明で十分。
もう一つ、Rootsを運営する株式会社Withのインタビューから。代表が社内のマネージャーについて語ったのは、短い一言でした。
彼女がいなければ会社は潰れる、と言えるくらい大きな存在です。
秋枝さん(株式会社With)
役割を具体的に語るだけで、社内の空気は伝わるもの。特別なニュースがなくても、人の話は発信のネタになります。
インタビュー全文はこちら
3か月目:振り返って、書き手を増やす
3か月目は、出したものの振り返り。見る数字は多くなくて構いません。
- 読まれた・反応があった投稿はどれか
- 問い合わせや採用の面接で、発信の話が出たことはあったか
- 書くのに時間がかかりすぎていないか
続けるために、社長ひとりで抱えない形にしていきます。社員に「月1本だけ、仕事の話を書いてほしい」と頼むだけでも、ネタの幅は広がるはず。
発信先の選び方:まずは1か所に絞る
どこに出すかで迷ったら、次の表を目安にしてください。最初は1か所、慣れたら2か所目を足すくらいがちょうどいいペースです。
| 発信先 | 向いている相手 | 始めやすさ | 気をつけたいこと |
|---|---|---|---|
| ホームページのお知らせ・ブログ | 取引先・見込み客 | 更新の手順が分かれば簡単 | 更新が止まると、古い印象を与える |
| SNS(Instagram・Xなど) | 採用したい人・一般の人 | アカウントを作ればすぐ | 流れが速く、続けないと埋もれる |
| note | 考え方を伝えたい相手 | 書く画面がシンプル | 自社サイトへの導線を意識する |
| メールでのお便り | 既存の顧客・取引先 | 名簿があれば始められる | 送る相手の同意を取っておく |
どの場所を選んでも、「誰に向けて」が決まっていれば言葉はぶれません。1か月目に決めた方針を、表の横に置いて選んでください。
実例:株式会社エグゼマッチは「会う機会」を少しずつ増やした
情報発信の目的は、突き詰めれば「知ってもらい、信頼してもらうこと」。この点で参考になるのが、経営者コミュニティを運営する株式会社エグゼマッチの猪谷進介さんの歩みです。
猪谷さんは、人脈も相談相手もいない状態から独立しました。Rootsのインタビューでは、関係づくりの始まりをこう振り返っています。
状況を変えてくれたのは、経営者の方々とのつながりでした。交流会などへ足を運び、人と会う機会を少しずつ増やしていくと、相談できる経営者の方も増えていきました。
猪谷進介さん(株式会社エグゼマッチ)
一度の大きな出会いではなく、接点を重ねることで関係が生まれた。その結果、周りの経営者から紹介が届くようになったといいます。
つながりが増える中で、『周りにWebマーケティングを検討している社長がいるよ』と紹介していただけるようになりました。
猪谷進介さん(株式会社エグゼマッチ)
これは、オンラインの情報発信にもそのまま当てはまる考え方でしょう。一度バズる投稿より、決まった頻度で顔を出し続けること。
それが「この会社に相談しよう」と思ってもらう土台になります。
インタビュー全文はこちら
発信を続けるための3つの工夫
3か月を乗り切った後も発信を続けるための工夫を、3つ挙げておきます。
- 完璧を目指さない
- 1つのネタを使い回す
- 外の媒体の力も借りる
1つ目は、完璧を目指さないこと。言い回しを気にしすぎると、1本に何日もかかります。確認は1人・1回までと決めておきましょう。
2つ目は、1つのネタを使い回すこと。ブログの内容を短くしてSNSに出す、社員紹介を採用ページにも載せる。1本の原稿から、複数の発信が生まれます。
3つ目は、外の媒体の力も借りること。地域の新聞や業界メディアに取り上げてもらうと、自社だけでは届かない人に知ってもらえます。
よくある質問
Q. SNSとホームページ、どちらから始めるべきですか?
相手がいる場所から始めるのが基本です。取引先や見込み客に向けるなら、まずはホームページのお知らせやブログ。
採用や一般の人に向けるなら、SNSのほうが届きやすい場合があります。迷ったら、今の顧客に「普段どこで情報を集めていますか」と聞いてみてください。
Q. 社長が発信してもいいのでしょうか?
小さな会社では、社長の考えや人柄がそのまま会社の魅力に。社長が語る創業の話や判断の理由は、ほかの誰にも書けない発信になります。
Q. 反応がほとんどなくて不安です。
最初の3か月は、反応が少なくて当たり前。発信は、読んだ人が必要になったときに思い出してもらうためのものです。
商談や面接の場で「記事を見ました」と言われる日は、続けた先に来ます。
Q. 書く時間がなかなか取れません。
書く時間は、ネタを選ぶ時間と分けて考えるのがおすすめです。週の初めにネタ帳から1つ決めておけば、書き始めるまでの迷いが減ります。
それでも難しいときは、社長が話した内容を社員に書き起こしてもらう方法も。話すだけなら、移動中やすき間の時間でもできます。
Q. 社員に書いてもらうとき、気をつけることはありますか?
書き方の細かなルールより、「誰に向けて書くか」を先に共有してください。1か月目につくったA4の方針を渡せば、言葉のぶれは小さくなります。
公開前の確認は1人・1回までにして、書いた人の言葉をなるべく残しましょう。直しすぎると、次の1本を頼みにくくなります。
まとめ
広報担当がいなくても、発信先を1つに絞り、決まった曜日に出し続ければ発信は止まりません。大切なのは、担当者の頑張りに頼らない仕組みにすること。
まずはA4 1枚に「誰に・どこで・どのくらいの頻度で出すか」を書き出してみてください。
一度の大きな反応より、顔を出し続ける回数が信頼につながります。3か月後の自社の姿を楽しみに、今週の1本から始めてみましょう。
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