働く人の事情から組織をつくる、Withのチームづくり

働く人の事情から組織をつくる、Withのチームづくり
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スタッフの約9割が、育児や家庭の事情を抱える女性。
個人事業から法人経営へ進むなかで、資金繰りや品質管理、家庭との両立に向き合ってきた株式会社With 代表取締役の秋枝紗由里さん。その経験は、働く人を会社の既存ルールに合わせるのではなく、一人ひとりの事情を踏まえて仕事の形を考えるという土台になりました。Withが実践する、柔軟な働き方と組織づくりの考え方をたどります。

目次

「働けない」のではなく、今の働き方が合っていない

株式会社Withのスタッフは、約9割が女性。育児中の母親をはじめ、障害や不登校などの事情を持つ子どもを育てている人も多く在籍しています。

子どもの急な体調不良や通院、学校からの連絡。家庭の事情は予定どおりにいきません。

決まった時間に出社し、毎日同じだけ働く雇用形態では能力があっても仕事を続けられません。

秋枝さん自身も夫の転勤や妊娠・出産を経験し、環境によって働き方が制限される苦しさを知る一人。

「何かしらの事情があって、自宅で働きたいという人が多くいます。その状況を理解しながら組織をつくることは簡単ではありません。

ただ、私自身も分かる部分があるんです」

株式会社Withが目指しているのは、事情を抱えている人を一方的に支援することではありません。スキルや経験を持つ人がいまの生活に合う方法で力を発揮し、企業の課題解決を担える状態をつくることです。

学びと仕事をつなぐ「PlusGATE」

株式会社Withが運営するコミュニティが「PlusGATE」です。参加する女性が必要なスキルを学び、その力を企業のサポート業務で生かす仕組み。

働きたい人に仕事だけを渡すのではなく、学びから実務へつなげている点に特徴があります。

秋枝さん自身、デザインから接客、店舗運営、業務効率化、マネジメントまで複数の現場で経験を積んできました。

学校で知識を得るだけではなく、実際の仕事を通じて技術を身につけてきた人。だからこそ学びと実践がつながる環境を重視しています。

「スキルを持つ女性に学んでもらい、企業のサポートとして働いてもらう。その仕組みをつくっています」

家庭の状況に合わせながら働くことと、顧客に価値を提供すること。その両方を成立させることが、Withの組織づくりの軸です。

柔軟さだけでは、組織は続かない

一方で、働く時間や場所を柔軟にするだけでは組織は成り立ちません。

顧客から仕事を受ける以上、納期や品質は守らなくてはならない。複数人で業務を進めれば、進め方やアウトプットにも差が生まれます。

秋枝さんも個人で仕事をしていた頃と同じ感覚でチームを運営しようとし、難しさに直面しました。

「一人でやっているときは、自分がやった分だけ報酬を受け取るシンプルな形でした。

でも、人にお願いするとなると、資金繰りも人間関係も、組織としての運営も必要になります」

とくに課題となったのが、品質と効率の担保です。誰が担当しても一定の水準で業務を進めるには、確認や教育、情報共有の仕組みが欠かせません。

柔軟な働き方と、企業として守るべき品質。この二つのバランスはいまも改善を続けているテーマです。

一人で抱えず、話し合える組織へ

創業当初は秋枝さんがほぼすべての仕事を担当していました。顧客が増えてチーム体制へ移ってからも、判断や確認は秋枝さんに集中しがちだったといいます。

その状況を変えたのが社内マネジメントを担うマネージャーでした。

「彼女がいなければ会社は潰れる、と言えるくらい大きな存在です」

マネージャーは業務を管理するだけの存在ではありません。意見が異なる場合には理由を伝え、必要に応じて立ち止まるよう促します。

「小さい会社だからこそ、一枚岩になっていないと前へ進めません。なぜ嫌なのか、なぜ今は待ってほしいのかを、きちんと話し合えることが大事だと思っています」

秋枝さんは自身を「猪突猛進型」と表現します。やりたいことが決まれば、すぐに動きたくなる。

その勢いは事業を前へ進める力になる一方で、タイミングを見誤るリスクもあります。だからこそ、ただ賛成するのではなく率直な意見を伝えてくれる人を大切にしています。

社内外に相談できる人を持つ

法人化のあと、秋枝さんは経営を独学で学んできました。資金繰りや単価設定など、実際に問題が起きてから初めて分かったことも少なくありません。

ここ1年ほどは経営者の会などに参加し、先輩経営者へ相談する機会が増えました。

「大きな企業の社長も、自分と同じようなことで悩んでいると知って、心が少し楽になりました」

経営者は最終的には自分で決断しなくてはならない。ただ、一人だけで考え続ける必要はないはずです。

社内では現場を知る仲間と話し、社外では異なる経験を持つ経営者から学ぶ。相談できる相手が増えたことが経営の改善にもつながっています。

これはスタッフとの関係でも同じ。秋枝さんの考えだけで仕事を進めるのではありません。それぞれが置かれている状況や現場で感じたことを伝え合い、よりよい形を一緒に考えていく。

その対話がWithの組織を支えています。

「どうすればできるか」を一緒に考える

株式会社Withでは、誰もが同じ時間、同じ環境で働けることを前提にしていません。

家庭や子育ての事情があっても、能力や経験まで失われるわけではないからです。できない理由を探すのではなく、今の状況でできる方法を一緒に考える。

それが秋枝さん自身の経験から生まれた価値観です。

「女性だから、お母さんだから、奥さんだからと諦める場面は多いと思います。でも、そこで終わるのではなく、今どうしたらできるのかを考えたいんです」

柔軟な働き方を大切にしながら、顧客に対する責任も果たす。個人の事情と組織の成果を対立させず、両立できる形を探し続ける。

それが株式会社Withのチームづくりです。

編集後記

柔軟な働き方の話は、ともすれば「配慮」の話で終わります。この取材で中心にあったのは、成果とどう両立させるかでした。

スタッフの約9割が育児や家庭の事情を抱える女性。予定どおりにいかない前提で、納期と品質を守る必要があります。

だから柔軟さだけでは組織は続かない、という言い方になる。

支えになっているのが、社内を見るマネージャーの存在でした。賛成するだけでなく、今は待ったほうがいいと伝えてくれる人。

「彼女がいなければ会社は潰れる」という言葉が、そのまま出てきます。

社内では現場を知る仲間と話し、社外では先輩経営者に相談する。独学でやってきた人が、この1年で変えた部分です。

できない理由を探すのではなく、今の状況でできる方法を一緒に考える。会社の制度より先に、この順番を変えるほうが早いのかもしれません。

会社概要

会社名株式会社With
代表者名秋枝紗由里さん
設立—
所在地—
事業内容企業のリモート業務サポート(デザイン・業務効率化・マネジメントなど)、コミュニティ「PlusGATE」の運営
Webサイト—

会社情報

会社名
株式会社With
代表者名
秋枝紗由里
設立
2014年(法人化2020年)
所在地
〒812-0011 福岡県福岡市博多区博多駅前1丁目23番2号 ParkFront博多駅前1丁目5F-B
会社概要
BPO事業、メディア事業、女性の学びと仕事を支える「PlusGATE」の運営

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