チームの関係づくりは、長い面談より「短い雑談を何度も」のほうが続きやすく、効きやすい。これがこの記事の結論です。
1on1(上司と部下が1対1で定期的に話す面談)が根づかない小さな会社でも、15分の雑談なら今週から始められます。
この記事では、株式会社エグゼマッチの猪谷進介さんの実例をもとに、雑談の進め方を手順にまとめました。明日から使える質問例とチェックリストも載せています。
この記事でわかること
- 1on1が小さな会社で続かなくなる4つの理由
- 15分の雑談を続けてきた株式会社エグゼマッチの実例
- 雑談を始める5つの手順と、そのまま使える質問例
1on1が続かない、小さな会社によくある悩み
1on1を始めてみたものの、数か月で自然消滅した。そんな声は少なくありません。
多くの会社が同じところでつまずきます。やり方が悪いというより、小さな会社の事情に形が合っていないことが多いのです。
- 30分〜1時間の枠が取れない:社長もメンバーも現場を持っていて、予定が埋まる
- 何を話せばいいか分からない:評価や目標の話になり、どちらも構えてしまう
- 進捗確認で終わる:結局いつもの業務報告になり、本音は出てこない
- 1回飛ぶと、そのまま止まる:「次は来月でいいか」が重なって消える
特にリモート中心のチームや、業務委託のメンバーがいる会社では、廊下での立ち話のような接点がありません。意識してつくらないと、関係は業務連絡だけになっていきます。
実例:株式会社エグゼマッチの「15分の雑談」
経営者コミュニティを運営する株式会社エグゼマッチは、業務委託のメンバーと事業を進める会社です。
猪谷進介さんが向き合ってきたのは、メンバーがなかなか定着しないという課題でした。そこで続けてきたのが、仕事の話をしない15分の雑談です。
Rootsのインタビューでは、その考え方をこう語っていました。
私が重視しているのは、1回の会話の長さよりも回数です。最初の段階では短くても頻繁に話し、安心して本音を言えるようになったら、徐々に頻度を減らしていきます。
猪谷進介さん(株式会社エグゼマッチ)
ポイントは、最初から長く深く話そうとしないこと。短い接点を重ねて「この人には話しても大丈夫」と思ってもらうことが先です。
信頼は、テキストのやり取りにも表れる
雑談を続けるうちに、チャットやメールの文面にも変化が出てきたとのこと。
語尾のニュアンスが少しフランクになるだけでも、信頼してくれたんだなと思えてうれしいです。信頼関係ができれば、テキストでも本音ベースで言い合えるようになります。
猪谷進介さん(株式会社エグゼマッチ)
雑談の時間そのものより、その後の日々のやり取りが変わる。ここに、短い雑談の効き目があります。
大がかりな制度にしない
猪谷さんは、この雑談を特別な仕組みではなく、日々の接点として続けてきました。リモート中心の働き方だからこそ、仕事以外の短い時間に意味があるという考えです。
そんな環境だからこそ、仕事の話をしない短い時間が、相手の本音を知る入口になると考えています。
猪谷進介さん(株式会社エグゼマッチ)
こうした関係づくりの結果、今では3〜4年にわたって一緒に働くメンバーもいるそう。
同じ考え方は、コミュニティの「壁打ち」にも生かされています。5〜7人ほどで、一人の経営課題を一緒に考える場です。
1on1と「15分の雑談」の違い
雑談は、1on1の代わりというより「1on1が機能するための土台」と考えると分かりやすくなります。違いを表にまとめました。
| 1on1 | 15分の雑談 | |
|---|---|---|
| 時間 | 30分〜1時間が多い | 15分 |
| 頻度 | 月1回〜隔週が多い | 最初は週1回ほど、慣れたら減らす |
| 話すこと | 目標・課題・キャリアなど | 最近のこと・困りごと・仕事以外の話 |
| 準備 | 議題やシートを用意することが多い | 質問を1つだけ用意する |
| ねらい | 成長支援・目標のすり合わせ | 安心して話せる関係をつくる |
本音が言える関係がないまま「困っていることは?」と聞いても、答えは出てきません。
まず雑談で関係をつくり、必要に応じて1on1を足す。小さな会社では、この順番が無理なく続きます。
15分の雑談を始める5つの手順
エグゼマッチの実例をもとに、ほかの会社でも真似しやすい手順に落とし込みました。
- 相手を1人決めて、カレンダーに入れる
- 最初の1〜2か月は、週1回を目安にする
- 仕事の進み具合は聞かない
- 社長は「話す」より「聞く」
- 変化に気づいたら言葉で返し、頻度を減らす
手順1:相手を1人決めて、カレンダーに入れる
最初から全員に広げる必要はありません。一番長く一緒に働いてほしい人、最近少し様子が気になる人から1人選びます。
15分の枠を、繰り返しの予定としてカレンダーに入れてください。「空いたらやる」では、ほぼ確実に後回しになります。
手順2:最初の1〜2か月は、週1回を目安にする
猪谷さんが話すとおり、大事なのは長さより回数。最初は短くても頻繁に話します。
オンラインならカメラのオン・オフは相手に任せましょう。移動中の電話でも構いません。
手順3:仕事の進み具合は聞かない
雑談の時間には、進捗確認をしないと決めておきます。仕事の話が出たら、「それは別で相談しましょう」といったん脇に置くくらいでちょうどいいはずです。
質問は1つだけ用意しておけば、沈黙も怖くありません。
| 聞きやすい質問の例 | ねらい |
|---|---|
| 最近、ちょっとうれしかったことは? | 話し始めの緊張をほぐす |
| 今週、地味に大変だったことは? | 小さな困りごとを拾う |
| 働く時間帯で、やりやすい・やりにくいはある? | 働き方の事情を知る |
| 最近、気になっているお店や本は? | 仕事以外の人柄を知る |
手順4:社長は「話す」より「聞く」
社長が話し始めると、雑談はすぐに社長の話を聞く時間に変わってしまいます。目安は、相手7割・自分3割です。
相手の話に助言したくなっても、まずは「そうだったんですね」と受け止めてください。解決策が必要なら、相手から聞かれたときに答えれば十分です。
手順5:変化に気づいたら言葉で返し、頻度を減らす
返信の語尾が柔らかくなった、以前より率直な相談が来るようになった。そうした変化は、関係ができてきたサインです。
気づいたら「相談してくれて助かりました」と言葉で返しましょう。関係ができてきたら、雑談は月2回ほどに減らしても続きます。
よくある質問
Q. 雑談が盛り上がらず、気まずくなりませんか?
最初の数回は、ぎこちなくて当たり前です。質問を1つ用意し、話が終わったら15分より早く切り上げても問題ありません。
Q. 社員が多くて、全員とは時間が取れません。
全員と同時に始める必要はありません。まずは3人ほどから始め、慣れてきたらリーダー役のメンバーにも同じやり方を任せる方法があります。
Q. 1on1はやめたほうがいいですか?
やめる必要はありません。目標や評価の話が必要な場面では、1on1が役立ちます。
雑談は、その1on1で本音が出やすくなる土台だと考えてください。
自社で確かめるチェックリスト
- メンバーと、仕事以外の話をしたのはいつが最後か
- 1on1や面談が、進捗確認だけで終わっていないか
- 定期的な接点を、カレンダーに予定として入れているか
- 話す時間のうち、社長が話している割合はどれくらいか
- 最近、メンバーの小さな変化に気づいて言葉を返したか
2つ以上答えに詰まる項目があれば、そこから見直すのがおすすめです。
まとめ
関係づくりで大切なのは、1回の長さより会う回数。進捗は聞かず、社長は聞き役に回るのが続けるコツです。
まずは一緒に長く働いてほしい人を1人決め、15分の雑談をカレンダーに入れてください。
最初はぎこちなくても、回数を重ねるうちに返ってくる言葉が変わってきます。今週の15分から、気軽に始めてみませんか。
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