小さな会社が採用面接で必ず聞くべき5つの質問

  • URLをコピーしました!

面接で何を聞けばいいのか分からない。採用の担当者がいない会社では、よく聞く悩みです。

結論から言うと、聞きたいことは5つに絞れます。経歴をなぞるより、「入社後に働いている姿が見えるか」を確かめる質問に時間を使ってください。

この記事では、小さな会社が採用面接で必ず聞きたい5つの質問と、答えの受け取り方を整理しました。あわせて、聞いてはいけない質問も確認します。

採用の基準を言葉にしている社長、働く人の事情から組織をつくる社長の実例も紹介。

この記事でわかること

  • 面接で人を見極められない、本当の理由
  • 小さな会社が必ず聞きたい5つの質問と、聞く順番
  • 面接で聞いてはいけないことと、言い換えの例
目次

見極められないのは、質問が「経歴の確認」で終わっているから

面接がうまくいかない会社では、質問そのものが足りていないことが多いもの。職務経歴書をなぞるだけで終わり、入社後の姿が見えないまま判断することになります。

小さな会社の面接には、時間も人手も限りがあります。だからこそ、1回の面接で何を確かめるかを先に決めておきたいところ。

よくある「もったいない面接」

次のような進め方になっていないか、思い出してみてください。どれも、悪気なく起きてしまうものです。

  • 職務経歴書を順に読み上げ、「はい」「そうです」で終わってしまう
  • 社長が会社の説明を8割話し、応募者が話す時間がほとんどない
  • 「やる気はありますか」と聞いて、「あります」と返ってくるだけ
  • その場の思いつきで質問するため、応募者どうしを比べられない
  • 面接する人によって聞くことが違い、評価がそろわない

質問が決まっていないと、最後は印象だけで決めることになります。「なんとなく良さそう」は、入社後のすれ違いにつながりやすい。

面接は、お互いが選ぶ場

いまは求職者が会社を選ぶ時代。面接は会社が見極める場であると同時に、応募者が会社を確かめる場でもあります。

厚生労働省も、応募者の基本的人権を尊重した「公正な採用選考」を呼びかけています。判断の材料にできるのは、本人の適性と能力だけ。

つまり、聞いてよいことは最初から絞られているわけです。絞られているからこそ、質問を決めておく価値があります。

小さな会社が必ず聞きたい5つの質問

ここからが本題。職種を問わず使える5つの質問を、聞く順番に並べました。

ポイント:質問は5つに絞り、全員に同じ順番で聞く。

  1. これまでの仕事で、一番うまくいったことは何ですか
  2. 前の職場で、やりにくかったのはどんなことですか
  3. 分からないことが出てきたとき、どうしていますか
  4. どんな働き方なら、力を出せそうですか
  5. うちの会社について、聞いてみたいことはありますか

質問1:一番うまくいったことは何ですか

最初は答えやすい質問から入ります。見たいのは成果の大きさではなく、「そのなかで自分が何を工夫したか」です。

ポイント:「そのとき、あなたは何をしたのですか」と一度だけ掘る。

チームの成果を自分の成果として話す人もいます。責める必要はありません。具体的な行動を一つ聞き出せれば十分です。

質問2:やりにくかったのはどんなことですか

次は、うまくいかなかった経験について。前職への不満そのものより、「どういう環境だと力が出ないか」を知るための質問です。

同じことが自社でも起きそうなら、入社前に正直に伝えましょう。隠して入ってもらうより、早期の退職を防げます。

質問3:分からないことが出てきたとき、どうしていますか

小さな会社では、教える人がいつもそばにいるとは限りません。自分で調べてから動く人か、すぐ聞いて確かめる人か。

ポイント:正解はない。自社の教え方と合うかどうかで見る。

手順書が整っていない会社なら、聞きに来てくれる人のほうが合うこともあります。配属や教え方を考える材料になるでしょう。

質問4:どんな働き方なら、力を出せそうですか

時間や場所の希望は、先に聞いてしまったほうがお互いに楽です。言えないまま入社すると、数か月後に無理が出ます。

ここで気をつけたいのは、家庭の事情を問いただす形にしないこと。「希望する勤務時間」「対応できる曜日」のように、仕事の条件として聞いてください。

質問5:聞いてみたいことはありますか

最後は、応募者からの質問の時間。何を気にしているかが、ここに一番よく表れます。

質問が出てこないときは、「入社した人が最初に戸惑うのはこのあたりです」と会社側から話してみましょう。会話が続き、相手の反応も見えてきます。

5つの質問を一覧にすると

質問確かめたいこと答えの受け取り方
1. 一番うまくいったこと自分で工夫する力成果の大小ではなく、本人がとった行動を聞く
2. やりにくかったこと力が出にくい環境不満の中身より、合わない条件として受け取る
3. 分からないときの動き方学ぶ姿勢・相談の仕方自社の教え方と合うかで見る
4. 力を出せる働き方時間・場所の希望仕事の条件として聞き、記録に残す
5. 聞きたいこと関心のありどころ質問の内容そのものを材料にする

評価のそろえ方

聞いたあとは、その場でメモを残します。点数をつけなくても、質問ごとに「○・△・?」の3段階で足ります。

面接する人が2人なら、終わった直後に1分だけすり合わせを。時間が経つほど、印象の良かった人に記憶が引っ張られます。

聞いてはいけないことを、先に決めておく

質問を決めるときは、聞かないことも同時に決めます。ここは、善意でうっかり踏んでしまいやすい場所です。

面接で質問してはいけない事項

厚生労働省は、就職差別につながるおそれがある事項として14項目を示しています。

本人に責任のない事項として、本籍・出生地、住宅状況、家族(職業・健康・学歴・収入・資産など)、生活環境・家庭環境。

本来自由であるべき事項として挙げられているのは、宗教、人生観・生活信条、思想、購読新聞や愛読書、支持政党、尊敬する人物、労働組合への加入状況など。

これらを応募用紙に書かせたり、面接で尋ねたりしないよう求められています。身元調査や、合理的な必要性が認められない健康診断も、避けるべき方法とされています。

出典:採用選考時に配慮すべき事項|厚生労働省

とくに多いのが、家族に関する質問。厚生労働省も、不適切な採用選考として指摘される内容のなかで最も多いと注意を促しています。

場を和ませようとして「ご家族は?」と聞いてしまう。悪気がないだけに、気をつけたいところです。

言い換えの例

聞きたい中身は、仕事の条件として聞けば足りることがほとんど。言い換えの例をまとめました。

知りたいこと避けたい聞き方仕事の条件として聞く
通勤の負担ご自宅はどのあたりですか通勤時間はどのくらいかかりますか
働ける時間お子さんは何歳ですか希望する勤務時間と曜日を教えてください
長く働けるかご結婚の予定はありますか3年後にどんな仕事をしていたいですか
体力的な適性病歴を教えてくださいこの仕事では20kgの荷物を運びます。対応できますか

迷ったときの目安は一つ。「その答えは、適性と能力の判断に必要か」と自分に問うことです。

必要でなければ聞かない。それだけで、ほとんどの危ない質問は避けられます。選考の進め方で個別に迷うときは、社会保険労務士やハローワークの窓口に相談してください。

実例:基準を言葉にしている社長、事情から考える社長

質問を決める前に必要なのは、「どんな人と働きたいか」を言葉にすること。Rootsで取材した2社の社長の話を紹介します。

「誠実さ」と「学ぶ意欲」を基準にする

株式会社エグゼマッチ 代表の猪谷進介さんは、業務委託のメンバーと一緒に事業を進めています。仲間を選ぶときの基準を、はっきり言葉にしている社長の一人。

完成されたスキルだけではなく、「誠実さ」と「学ぶ意欲」です。

猪谷進介さん(株式会社エグゼマッチ)

スキルは経験と学習で伸ばせる一方、誠実に向き合う姿勢や学び続ける意思は、信頼を土台に仕事を進めるうえで欠かせないと語っていました。

質問3「分からないことが出てきたとき、どうしていますか」は、まさにこの部分を見る質問。基準が言葉になっていれば、聞くことは自然に決まります。

事情を知ったうえで、できる形を一緒に探す

Rootsを運営する株式会社With 代表の秋枝紗由里さんは、スタッフの多くが育児や家庭の事情を抱えながら働く会社を経営しています。

何かしらの事情があって、自宅で働きたいという人が多くいます。その状況を理解しながら組織をつくることは簡単ではありません。

秋枝紗由里さん(株式会社With)

事情があることを前提に置いたうえで、秋枝さんはこう続けます。

女性だから、お母さんだから、奥さんだからと諦める場面は多いと思います。でも、そこで終わるのではなく、今どうしたらできるのかを考えたいんです

秋枝紗由里さん(株式会社With)

質問4は、この「今どうしたらできるのか」を一緒に探すための質問です。事情を詰める時間ではなく、働ける形を相談する時間として使ってください。

よくある質問

Q. 面接は何回行うべきですか

社員が数名の会社なら、1回でも判断できます。ただ、入社後に一緒に働く人と顔を合わせる時間は、短くても設けたいところ。

2回に分けるなら、1回目で5つの質問、2回目で仕事の様子を見てもらう形が進めやすいでしょう。

Q. 適性検査は必要ですか

必須ではありません。合理的で客観的な必要性が認められない採用選考時の健康診断は、配慮すべき事項に挙げられている点にも注意してください。

まずは5つの質問を全員にそろえて聞くだけでも、比べる土台はつくれます。

Q. 社長が一人で面接してもよいですか

問題ありません。ただし一人のときほど、質問を紙に書いて持ち込んでください。会話が盛り上がるほど、聞き忘れが出ます。

Q. 面接の時間はどのくらいが適切ですか

5つの質問なら、40〜60分が目安。会社の説明に半分以上を使わないよう、時間配分を決めておくと安心です。

まとめ

面接で人を見極められないのは、見る目がないからではありません。聞くことが決まっていないだけ、という場合がほとんどです。

まずは今回の5つの質問を1枚の紙に書き出して、次の面接に持ち込んでみてください。 質問がそろえば、応募者を比べられるようになります。

来てほしい一人に出会うために、できるところから始めていきましょう。

出典・参考

R

この記事を書いた人

Roots編集部(株式会社With)

中小企業の経営者インタビューを続ける編集部。取材で聞いた経営者の実践を、ほかの会社でも使える形にまとめています。

編集部について

Rootsの新着をメールで受け取る

経営者インタビューの新着と、中小企業の経営に役立つトピックを月2回ほどお届けします。

配信停止は毎回のメールのリンクから、いつでもできます。

この記事をシェアする
  • URLをコピーしました!
目次